ホーム / ナレッジ / 官公データで企業リストを作る方法|法人番号・gBizINFOを無料で束ねる手順
企業リストは購入しなくても、国が無料公開している官公データを法人番号キーで束ねれば、基礎属性のリストを無料で自作できます(規約の作法を守れば商用利用も可能)。使う4つのデータ源(法人番号公表サイト・gBizINFO・EDINET・適格請求書公表サイト)の実仕様と5つの手順、ファイル形式・文字コードの選び方、名寄せ・鮮度維持のつまずきどころ、商用利用の規約の作法を、作る順番で整理します。
著者: 村山 悠太(ゴムマリ) 最終更新: 2026年7月
企業リストは、買わなくても作れます。国が無料で公開している官公データを、13桁の法人番号をキーに束ねれば、商号・所在地・資本金・従業員数といった基礎属性の企業リストを、無料で自作できます。規約の作法を守れば、商用でも使えます。この記事は、リスト購入の予算がないBtoB営業企画・マーケ担当に向けて、使うデータ源・ファイル仕様・手順・つまずきどころまでを、作る順番で解説します。
有料DBを購読する、Webから手作業で集める、官公データを束ねる——の3つです。有料DBは整ったデータをすぐ使える一方で月額費用がかかり、自社が欲しい列が揃っているとは限りません。手作業の収集は無料ですが、各サイトの利用規約の確認が必要で、品質のばらつきと工数が課題です。
3つ目の官公データは、無料で、規約の作法を守れば商用でも使えます。取れるのは基礎属性が中心で、名寄せと更新の手間がかかる——この向き不向きを知って選ぶのが出発点です。
4つの源は役割が違います。まず全体像を表で押さえてから、それぞれの実仕様を見ます。
| データ源 | 取れる主な情報 | ファイル形式 | 取得方法 | 更新 |
|---|---|---|---|---|
| 法人番号公表サイト(国税庁) | 法人番号・商号・所在地(基本3情報) | CSV(Shift-JIS/Unicode)・XML | 全件/差分の無料一括DL、Web-API | 全件は毎月、差分は日次 |
| gBizINFO(経済産業省) | 資本金・従業員数・届出/認定・財務・特許・補助金など | CSV・API(JSON) | 一括DL・REST API(要利用申請) | 随時 |
| EDINET(金融庁) | 有価証券報告書等の開示情報・財務 | XBRL・CSV・API | API(要APIキー) | 提出の都度 |
| 適格請求書公表サイト(国税庁) | 登録番号・登録状況(法人/個人/社団の3区分) | CSV・XML・JSON | 全件/差分の無料DL、Web-API | 全件は毎月、差分は日次 |
**法人番号公表サイト(国税庁)**が土台です。全法人の商号・所在地・法人番号(基本3情報)を無料一括ダウンロードできます。公表件数は約580万法人です。ファイルは「CSV形式・Shift-JIS」「CSV形式・Unicode」「XML形式・Unicode」の3種類が用意されています。全件データは全国一括のほか、都道府県・国外の単位別にも落とせます。
**gBizINFO(経済産業省)**が肉付け役です。経済産業省が「500万社以上」の政府保有法人データを提供するサイトで、法人番号をキーに資本金・従業員数などの法人基本情報から届出/認定・財務・特許・調達・補助金・職場情報までを引けます。REST API(現行v2.0)と情報種別ごとの一括ダウンロードがあり、いずれも事前の利用申請でトークンを取得してから使います。使い方の詳細はgBizINFOの使い方に整理しています。
**EDINET(金融庁)**は財務の補完です。有価証券報告書等の開示書類は、サイトでの閲覧・取得なら登録不要で、APIによる機械取得にはAPIキー(登録制)が必要です(キーなしのリクエストは拒否されます)。対象は開示義務のある企業に限られます。
**適格請求書発行事業者公表サイト(国税庁)**は登録状況の確認用です。登録番号は「T」に続く13桁の半角数字です。検索画面のスクレイピングは規約で禁止されており、全件ダウンロードかWeb-API経由で取得します。全件データは法人・人格のない社団等・個人事業者の3区分に分かれて提供されます。詳細は適格請求書発行事業者の公表データ活用へ。
手順そのものより、運用が本体です。第一に名寄せ。手元の顧客リストと官公データを名前で突き合わせると、表記ゆれと同名他社で破綻します。結合キーは必ず法人番号にします。手順は法人番号で名寄せする方法に分けて整理しました。
名寄せの前段で引っかかるのが文字コードです。法人番号公表サイトのShift-JIS版はJIS第一・第二水準までで、第三・第四水準の文字は「JIS縮退マップ」で置き換えられ、縮退先がない字はアンダーバーになります。旧字を含む社名が化ける・潰れるのはこれが原因で、原字が要る場合はUnicode版を選びます。
第二に鮮度。移転・商号変更・閉鎖は日々起きます。法人番号公表サイトは全件データを毎月更新し、これとは別に日次の差分データを提供しています。適格請求書公表サイトも同様に、全件は毎月・差分は日次です。全件を一度落としたら、以降は差分だけを継いで追うのが基本の運用です。適格請求書の差分は過去40日分しか置かれないため、間隔を空けると取りこぼします。
出典を表示すること。法人番号のWeb-APIを使ったサービスを公開する場合は、所定の情報取得元の明示文(国税庁法人番号システムのWeb-API機能を利用した情報であり、内容は国税庁が保証したものではない旨)を表示すること。適格請求書公表サイトの検索画面をスクレイピングしないこと。個人事業者の氏名は個人情報として扱うこと。この4点が主な作法です。
適格請求書の全件・差分データでは、個人事業者のデータに限り氏名等の項目が削除された状態で提供されます(法人の名称・所在地は提供されます。詳細は適格請求書発行事業者の公表データ活用へ)。各サイトの規約は要約せず原文を確認してから使ってください。
官公データで作れるのは基礎属性のリストまでです。営業が当たり先を選ぶために本当に知りたい列——担当部署・保有設備・いま抱えているニーズ——は官公データには載っておらず、ここから先は1社ずつ調べる世界になります。基礎リストまで自力で作り、その先の「調べる」を外に出すという分担も選べます。
本当に無料で商用利用できますか?
できます。法人番号公表サイトはPDL1.0(公共データ利用規約)準拠、gBizINFOは政府標準利用規約2.0準拠で、いずれも出典表示を条件に商用利用可と明記されています。gBizINFOのAPI・ダウンロード利用は事前申請と申告した目的の範囲内という条件が付きます。
業種で絞ったリストを作れますか?
法人番号公表サイトの基本3情報だけでは作れません。業種の列がないためです。都道府県単位で土台を作り、gBizINFOで肉付けした後に業種で絞る流れになります。gBizINFO側での絞り込みはgBizINFOの使い方に整理しています。
Web-APIとダウンロード、どちらを使いますか?
全件はダウンロード専用で、法人番号のWeb-APIでは全件取得はできません。数千件の個別照合や差分の自動取り込みはAPI向きです。ただしAPI利用に必要なアプリケーションIDの発行には2週間から1か月程度かかるため、使う予定があれば早めに申請します。
Excelだけでできますか?
対象が数千件までなら表計算で一巡できます。都道府県全件(数万〜数十万行)を扱う段階で、表計算の手作業は物量的に苦しくなります。
リストの鮮度はどう保ちますか?
全件データを一度取り込み、以降は日次の差分データを継ぐ運用をルーティンにするのが基本です。取り込み頻度は週次でも構いませんが、まず「差分で追える仕組み」を持つことが本体です。この更新の手間こそがリスト運用の本体です。
まず、狙う1業種・1都道府県を決めて、上の5ステップを一度通してみてください。どこに手間がかかり、どこから先を任せたくなるかが見えます。基礎リストの先——貴社の欲しい列に合わせた調査つきのリスト——が必要な場合は、ターゲットリスト作成を成果物単位で提供しています。相談から、業種・地域・欲しい列を教えてください。
国産大手ERPベンダーで新卒からERPのエンタープライズ営業・プリセールス・導入コンサル、外資系SaaSでパートナーセールス部門の立ち上げ、国内大手放送局で新規事業開発(通販カタログ事業)、AIスタートアップ2社でビジネスサイドの要職を歴任。2024年10月から生成AIを自ら実装し、2025年にゴムマリ株式会社を設立。
現在は自らAIエージェントを実装するFDE。評価セット設計・専門家監修・Go/No-Go判定、CRM・会計・社内DBとの統合、減った時間の実測まで一貫します。要件から、運用まで——AIエージェントが、現場で成果を出す仕組みを。