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適格請求書発行事業者の​公表データ活用|​使いどころと​規約の​落とし穴

国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトからは、登録番号・登録状況などの公表情報を全件データ(CSV/XML/JSON・日次差分)またはWeb-APIで取得できます。営業・経理のデータ整備での使いどころと、検索画面のスクレイピング禁止・個人事業者データはダウンロードでは削除済み・個人情報としての扱いなど、規約と提供項目の注意点を一次情報で整理します。

著者: 村山 悠太(ゴムマリ) 最終更新: 2026年7月

目次
  1. 取れる情報——公開されるのは登録状況
  2. 登録番号の構造——T+13桁と法人番号の関係
  3. 取得方法——ダウンロードかWeb-APIで
  4. 営業データでの使いどころは3つ
  5. 落とし穴——ダウンロードと検索・APIで中身が違う
  6. 注意点——個人事業者の氏名は個人情報
  7. よくある質問
  8. 次の一歩

適格請求書発行事業者公表サイトは、インボイス制度の登録事業者を国税庁が公表するサイトです。受け取った請求書の登録番号が取引時点で有効か(適格請求書発行事業者が取消等を受けていないか)を確認する目的で、消費税法の規定に基づき公開されています。取引先1件の確認だけでなく、全件データやWeb-APIを使えば、保有する取引先マスタの一括点検にも活用できます。ただし4つの官公データ源の中で、利用規約と個人情報の注意点がもっとも多く、しかもダウンロードデータと検索・APIで提供項目が異なる源でもあります。この記事は、営業・経理のデータ整備を担う担当者に向けて、取れる情報・取得方法・守るべき作法を、公表サイトの一次情報で整理します。

取れる​情報——​公開されるのは​登録状況

消費税法に基づき公開される項目は、氏名又は名称、法人の場合は本店又は主たる事務所の所在地、登録番号、登録年月日、登録取消年月日・登録失効年月日です。これに加えて、事業者が希望した場合に限り、個人事業者の主たる屋号と、個人事業者・人格のない社団等の所在地が公開されます。営業データ整備で中心になるのは、名称・所在地・登録番号と、登録状況(登録・取消・失効)の日付です。氏名や名称の変更があった場合、公表されるのは変更後の最新情報のみで、旧情報は残りません。

登録番号の​構造——​T+13桁と​法人番号の​関係

登録番号は「T」(ローマ字)に続く13桁の数字で構成されます。法人番号を持つ課税事業者では、この13桁がそのまま法人番号と一致します(T+法人番号13桁)。一方、個人事業者や人格のない社団等では、13桁にはマイナンバーを用いず、法人番号とも重複しない事業者ごとの番号が割り振られます。つまり「T+13桁が法人番号」と言えるのは法人だけで、個人事業者の登録番号から法人番号は導けません。この違いが、後述する「法人に絞ると扱いやすい」理由の一つです。

取得方​法——​ダウンロードか​Web-APIで

まとめて取得する方法は2つ、全件データのダウンロードとWeb-API(申請制)です。重要な前提として、検索画面(登録番号を入力して1件ずつ表示する機能)に対するスクレイピングは、利用規約で明示的に禁止されています。禁止対象にはそのプログラムやソースコードの公開も含まれ、違反するとアクセス制限や損害賠償請求等の対象になり得ます。一括で必要なら、必ず全件ダウンロードかAPIを使ってください。

ダウンロードファイルの実体

全件データは、法人(h_all)・人格のない社団等(j_all)・個人(k_all)の3区分に分かれたファイルで提供されます。ファイル形式はCSV・XML・JSONの3種類、文字コードはUnicode(JIS第一~第四水準)です。各ファイルはZip形式で圧縮され、国税庁が作成したファイルかを確認するためのOpenPGPデジタル署名(検証用ファイル)が同梱されています。

全件データは毎月初日(休日を除く)に前月末時点の内容で作成され、作成日翌日の午前6時以降に公開されます。更新分の差分データは日次で作成され、過去40日分をダウンロードできます。鮮度の維持は、この差分を日々取り込む形で行います。法人の全件データは都道府県のグループで5つのファイルに分割され(東京都は単独で1ファイル)、個人・人格のない社団等のデータは圧縮前で500MBを超えると分割されます。項目名の定義は「リソース定義書」(PDF・Excelで提供)に、実データの見本は「サンプルデータ」に用意されており、取り込み前に列構成と中身を確認できます。

Web-API申請の実際

Web-APIはREST方式で、令和3年10月から3つの機能を提供しています。登録番号を指定した抽出、期間を指定した更新(差分)情報の取得、登録番号と日付を指定した抽出の3つです。利用にはアプリケーションIDが必要で、発行費用はかかりません。注意点として、法人番号システムのWeb-APIと同じIDを使えますが、令和5年1月20日以降は、国税庁へ発行申請書を提出し承認を受けないと、インボイスWeb-APIは利用できません。APIで取得した情報を使ったサービスを公開する場合は、国税庁が指定する取得元の明示(国税庁のWeb-API機能を利用して取得した情報をもとに作成しているがサービス内容は国税庁が保証したものではない旨)の掲示が求められます。本番接続の前には、国税庁が提供するWeb-API検証環境で接続テストを行えます。

営業データでの​使いどころは​3つ

  1. 取引先マスタの実在確認: 保有リストの法人番号と全件データを突き合わせれば、登録状況の変化(登録・取消・失効)を機械的に検知できます。
  2. 経理と営業の突合を一度に: 経理側の仕入税額控除の確認と、営業側のマスタ整備を、同じ登録データで同時に済ませられます。取引先ごとに登録番号・登録年月日・失効年月日を持たせておくと、両部門が同じ一次情報を参照できます。
  3. 法人番号の逆引き補助: 手元のリストに登録番号(T+13桁)が記録され、それが法人のものなら、13桁部分がそのまま法人番号になります。法人番号公表サイトのデータと結合すれば、所在地や変更履歴まで広げられます。

落とし穴——​ダウンロードと​検索・​APIで​中身が​違う

最大の注意点は、提供項目がチャネルで異なることです。個人の全件データ・差分データでは、個人事業者のデータに限り、氏名・カナ・主たる屋号・所在地・通称旧姓など10項目の値が削除されています(令和4年9月末以降の提供分)。つまり全件ダウンロードだけでは、個人事業者の氏名リストは作れません。これらの項目は、検索機能とWeb-APIでは引き続き提供されています。法人と人格のない社団等については、所在地等の項目がダウンロードでも提供され続けています。この非対称を知らずに「ダウンロードすれば全部揃う」と設計すると、個人事業者分で欠損が出ます。

もう一つ、コンテンツを編集・加工して公開する場合は、出典(国税庁適格請求書発行事業者公表サイト)の記載と、加工した旨の明示が求められます。データは公共データ利用規約(第1.0版)に準拠した条件で利用できます。社内点検で使うだけなら出典表示は不要ですが、外部提供する成果物に載せる際は忘れやすい点です。

細かい点では、ダウンロードファイルの文字コードはUnicodeのため、CSVを表計算ソフトでそのまま開くと文字化けすることがあります。公表サイトも文字化け時の対処を案内しており、読み込み時に文字コードを指定するか、いったんテキストとして取り込む手順を挟むと避けられます。

注意点——​個人事業者の​氏名は​個人情報

公表サイトの利用規約は、取得した個人情報(氏名・登録番号)に該当する部分を本人の同意なく公表するなどした場合、個人情報保護法の規定に抵触するおそれがあると明記しています。検索やWeb-APIで個人事業者の氏名を取得できても、営業リストへの転用など本来の確認目的を超える利用は、法務確認を経てから判断してください。前述のとおり、全件ダウンロードでは個人事業者の氏名等はそもそも削除されています。法人データに絞って使うのが、この論点を避ける最も迷いのない運用です。

よく​ある​質問

無料で使えますか?

サイトの利用・全件データのダウンロードは無料です。Web-APIも申請制ですが、アプリケーションIDの発行費用はかかりません。

検索結果をコピーして集めるのはだめですか?

検索画面のスクレイピング(プログラムによる自動取得)は規約で明示的に禁止されています。そのプログラムやソースコードの公開も禁止です。まとめて必要なら全件ダウンロードかAPIを使ってください。

個人事業主の氏名リストを作れますか?

全件・差分のダウンロードでは、個人事業者の氏名・屋号・所在地など10項目が削除されているため作れません。検索やWeb-APIでは取得できますが、氏名は個人情報です。利用目的・第三者提供の整理を済ませてからにしてください。法人に絞る限り、この論点は避けられます。

データはどのくらいの頻度で新しくなりますか?

全件データは毎月初日(休日を除く)に前月末時点で作成され、翌日午前6時以降に公開されます。日次の差分データを取り込めば、月の途中の登録・取消・失効も追えます。

取り込むファイルの形式は選べますか?

CSV・XML・JSONの3種類から選べます。文字コードはUnicode(JIS第一~第四水準)です。表計算で扱うならCSV、システム連携ならJSONやAPIが向きます。

次の​一歩

まず手元の取引先マスタに登録番号または法人番号の列があるか確認してください。あれば、全件データとの突合で登録状況と鮮度の点検が一度にできます。ただし個人事業者分はダウンロードに氏名が無い点を、設計に織り込んでください。官公データ全体の束ね方は官公データで企業リストを作る方法へ。マスタの突合・整備を任せたい場合はデータ整理・名寄せを成果物単位で提供しています。相談からどうぞ。

関連記事: 官公データで企業リストを作る方法法人番号公表サイトの全件データ活用法人番号で名寄せする方法

この記事を書いた人

代表 村山悠太のポートレート

村山 悠太(ゴムマリ代表)

国産大手ERPベンダーで新卒からERPのエンタープライズ営業・プリセールス・導入コンサル、外資系SaaSでパートナーセールス部門の立ち上げ、国内大手放送局で新規事業開発(通販カタログ事業)、AIスタートアップ2社でビジネスサイドの要職を歴任。2024年10月から生成AIを自ら実装し、2025年にゴムマリ株式会社を設立。

現在は自らAIエージェントを実装するFDE。評価セット設計・専門家監修・Go/No-Go判定、CRM・会計・社内DBとの統合、減った時間の実測まで一貫します。要件から、運用まで——AIエージェントが、現場で成果を出す仕組みを。

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