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データ分析を​外注・​発注する​進め方​|​依頼の​前に​決める​5つと、​契約で​確かめる​こと

データ分析の外注では、依頼書に書かれていないことは納品物で埋まりません。発注の前に決める5つ(決めたいこと・データ・成果物・検収・データの扱い)、依頼書の項目、経済産業省の契約ガイドラインが挙げる論点(加工・分析で生まれたデータの扱い、目的外利用、個人情報)、発注先の選び方を、一次出典つきで整理します。

著者: 村山 悠太(ゴムマリ) 最終更新: 2026年10月

ノートパソコンが並ぶ机で、鉛筆を手に手書きの資料を確かめる2人の手元
写真はイメージです

この記事でわかること

  • 依頼の前に「この分析で何を決めるか」を一文で書けないと、成果物は集計表で終わります
  • 分析で生まれた集計表や加工済みデータを誰がどこまで使えるかは、契約で決めないと一義的に定まりません
  • 外注先が分析にAIサービスを使う場合は、渡したデータがAIの学習に使われるかを着手前に確かめます
目次
  1. 依頼の前に決める5つ
  2. 契約で確かめること
  3. 依頼書に書く項目
  4. 発注先の選び方
  5. 自力でどこまでやれるか
  6. AIで全件を読むと、何が変わるか
  7. 次の一歩

データ分析を外注するとき、依頼書に書かれていないことは納品物で埋まりません。何を決めるための分析かが書かれていなければ、返ってくるのは「きれいな集計表」になりやすく、検収の基準がなければ結論の正しさを社内で説明できません。この記事は、社内に溜まった業務データの分析を外部に頼みたい部門長・企画担当の方に向けて、発注の前に決める5つ、依頼書の項目、契約で確かめること、発注先の選び方を整理します。費用の相場はデータ分析の外注費用まとめにまとめています。

なお、購買部門の発注データ(発注実績)を分析する方法を探している場合は、発注データ分析のAI活用をご覧ください。

依頼の​前に​決める​5つ

1. この分析で何を決めるか

最初に書くのは、分析の対象ではなく、分析の結果を受けて誰が何を決めるかです。「売上データを分析してほしい」ではなく、「来期に営業担当を重点配置する業種を、今期中に決めたい」と書きます。決めたいことが一文で書けない依頼は、外注先が問いを推測することになり、成果物は全体を眺めた集計表で終わりやすくなります。

2. 対象のデータと、その状態

期間、件数、項目、置き場所(どのシステムのどの出力か)、ファイルの形式を書き出します。あわせて、表記ゆれ・重複・欠損がどの程度あるかを、分かる範囲で添えます。データが散らかっている場合は、分析の前に整備の工程が入ります。整備を自社でやるか外注先に含めるかで、見積も納期も変わります。整備の実務は名寄せ・整形の実務に整理しています。

3. 成果物の形

成果物は段階で分かれます。集計表まで、要因の分解(どこで・何が・どれだけ)まで、打ち手の提言と報告書まで、のどこを求めるかを決めます。誰が読むか(担当者か、経営会議か)と、読む場面(会議の資料か、手元の判断材料か)も書いておくと、形がずれません。

4. 検収の基準

何をもって完了とするかを、着手前に決めます。たとえば、集計の総計が元データの件数・金額と一致していること、分析の手順を再現できる説明がついていること、判断に使った前提と除外したデータが明記されていること。この3点は、結論の正しさを社内で説明するときにも使えます。

5. データの扱い

渡すデータに個人情報や取引先の情報が含まれるかを確かめ、渡す範囲、保管場所、作業後の返却・削除の方法を決めます。外注先が分析にAIサービスを使う場合は、渡したデータがAIの学習に使われるかも確かめます。

契約で​確かめる​こと

分析で生まれたデータを、誰がどこまで使えるか

経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(データ編)」は、データを加工・分析・編集・統合することによって新たに生じたデータを「派生データ」と定義しています。そのうえで、データを相手に渡す契約で論点になるものとして、派生データ等の利用権限、提供したデータが期待されたものでなかった場合の責任、提供したデータの目的外利用、個人情報等を含む場合の扱いなどを挙げています。データを利用許諾の形で渡した場合、派生データの利用権限は一義的に定まらないとも整理しています(経済産業省 AI・データの利用に関する契約ガイドライン 1.1版・データ編 第4)。

分析の外注に当てはめると、確かめる点は次の3つです。

  • 分析で作られた集計表・加工済みデータ・分析の手順を、自社が以後も自由に使えるか
  • 外注先が、渡したデータや派生データを、この分析以外の目的(他社向けの分析や自社サービスの改善など)に使わないか
  • 作業が終わったあと、渡したデータと派生データをどう返却・削除するか

個人情報を含むデータを渡すとき

個人データの取扱いを、利用目的の達成に必要な範囲で委託することに伴って渡す場合、受け取る外注先は第三者に当たりません(個人情報保護法27条5項1号)。本人の同意なしに渡せる代わりに、委託する側には、委託先で個人データの安全管理が図られるよう必要かつ適切な監督を行う義務があります(同法25条)。監督の中身として、取扱いの範囲、再委託の可否、作業後の削除を契約に書いておきます。

外注先がAIサービスを使うとき

経済産業省の「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」(2025年2月)は、AIサービスに入力するデータ(インプット)の扱いを、汎用的なAI学習目的に使われる場合、サービス提供に必要な範囲でのみ学習に使われる場合、学習に使われない場合に分けて、契約上の留意点を整理しています。個人情報保護法との関係やログの保存も項目にあります(経済産業省 AIの利用・開発に関する契約チェックリスト)。外注先に、どのAIサービスを使い、入力したデータがどの扱いになるかを聞いてください。

フリーランスに頼むとき

従業員を使用していない事業者(フリーランス)に業務を委託する場合は、2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法が適用されます。発注した側は、業務の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を、書面や電子メールなどで直ちに明示する必要があります。発注する側が従業員を使用している場合は、報酬の支払期日を、成果物を受け取った日から60日以内のできる限り早い日に定めます(公正取引委員会 リーフレット)。

依頼書に​書く​項目

上の5つと契約の論点を、そのまま依頼書の項目にできます。複数の外注先に同じ表を渡せば、見積の前提がそろい、比べやすくなります。

項目 書く内容
目的 この分析の結果で、誰が何を決めるか(一文)
対象データ 期間・件数・項目・出力元・形式・状態(表記ゆれ・欠損の有無)
成果物 集計表/要因分解/提言・報告書のどこまでか。読み手と使う場面
検収の基準 元データとの総計の一致、手順の再現性、前提と除外の明記
納期 結果を使う会議・判断の日から逆算した日付
データの扱い 個人情報の有無、渡す範囲、AIサービスの利用可否、返却・削除の方法
権利 集計表・加工済みデータ・分析手順を自社で再利用できること

発注先の​選び方

発注先 向いている依頼 確かめること
分析会社・コンサルティング会社 テーマが流動的で、継続して相談したい 人月で積み上がる契約か、成果物単位の契約か
フリーランスのデータアナリスト 範囲が明確で、社内に依頼を管理できる人がいる 取引条件の明示、作業環境とデータの管理
AIで全件を処理する受託 件数が多く、全件を同じ基準で読む必要がある 判定の根拠が残るか、AIサービスでのデータの扱い

費用の公開相場は、依頼の仕方ごとにデータ分析の外注費用まとめに出典つきで整理しています。

自力で​どこまで​やれるか

データが1つのシステムから同じ形式で出ていて、問いが「どの区分が増えた・減ったか」で済むなら、ピボットテーブルとグラフで十分です。外注する前に、まず自社で1回集計してみると、データの状態と問いの解像度が分かり、依頼書の精度も上がります。

自力の限界は、データが複数のシステムやファイルに分かれていて突き合わせが要るとき、自由記述のような文章のデータを読む必要があるとき、件数が多くてサンプリングでしか見られないときに来ます。この3つは、担当者の時間を足しても、全件を同じ基準で読むことが難しい種類の作業です。

AIで​全件を​読むと、​何が​変わるか

AIを使うと、件数の多いデータや文章のデータでも、抜き取りではなく全件を同じ基準で分類・集計できます。抜き取りでは見落としていた少数の型や、件数は少なくても損失の大きい要因が、全件を読むことで初めて数えられます。顧客満足度調査の自由記述を全件分析した例は満足度調査の全件分析の事例に、品質トラブルの記録を全件再判定して損失要因を特定した例は異常処理の全件再判定の事例にまとめています。

ゴムマリの業務データ分析レポートは、分析したい生データ(Excel・CSVなど形式不問)を受け取り、全件の集計と傾向分析、要因の分解、打ち手の提案、経営層向けのサマリ1枚までを返します。価格と納期は着手前に確定します。

次の​一歩

まず1つのテーマと1つのデータから、業務データ分析レポートで試せます。現地でのワークショップと真因の究明まで含めて進めたい場合は業務データ診断を、データの整備から始めたい場合はデータ整理・名寄せをご覧ください。

関連記事: データ分析の外注費用まとめ/形式バラバラのデータを「使える一枚」にする/アンケート・満足度調査の自由記述を全件読む方法

この記事を書いた人

代表 村山悠太のポートレート

村山 悠太(ゴムマリ代表)

国産大手ERPベンダーで新卒からERPのエンタープライズ営業・プリセールス・導入コンサル、外資系SaaSでパートナーセールス部門の立ち上げ、国内大手放送局で新規事業開発(通販カタログ事業)、AIスタートアップ2社でビジネスサイドの要職を歴任。2024年10月から生成AIを自ら実装し、2025年にゴムマリ株式会社を設立。

現在は自らAIエージェントを実装するFDE。評価セット設計・専門家監修・Go/No-Go判定、CRM・会計・社内DBとの統合、減った時間の実測まで一貫します。要件から、運用まで——AIエージェントが、現場で成果を出す仕組みを。

FAQ

よく​ある​質問

データが整っていなくても、分析を依頼できますか?

依頼できます。ただし、表記ゆれ・重複・欠損を直す整備の工程が分析の前に入るため、その工程が見積に含まれているかを確かめてください。ゴムマリの業務データ分析レポートは、Excel・CSVなど形式を問わず生データのままお受けします。

分析で作られた集計表や加工済みのデータは、誰のものになりますか?

契約で決めます。経済産業省の契約ガイドライン(データ編)は、提供したデータを加工・分析して新たに生じたデータを「派生データ」と呼び、利用許諾の形で渡した場合はその利用権限が一義的に定まらないとしています。自社で再利用したいなら、その旨を契約に書いてください。

個人情報を含むデータを外部に渡してもよいですか?

分析を委託する目的の範囲で渡すなら、本人の同意が要る第三者提供には当たりません(個人情報保護法27条5項1号)。その代わり、委託する側に委託先を監督する義務があります(個人情報保護法25条)。ゴムマリは秘密保持を前提に対応し、必要に応じてNDAを締結してから扱います。

フリーランスに分析を頼むとき、気をつけることはありますか?

従業員を使用していない事業者(フリーランス)に業務を委託する場合、2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法により、業務の内容・報酬の額・支払期日などの取引条件を書面やメールで直ちに明示する必要があります。

1回きりの分析だけでも頼めますか?

頼めます。ゴムマリの業務データ分析レポートは、1つのテーマ・1つのデータから単発でお受けし、価格と納期は着手前に確定します。

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