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勤怠データの​集計方​法|​締め日に​起きる​ミスと、​給与計算へ渡す前の​確認項目

勤怠データの集計は、打刻を足し上げる作業ではなく、法令が求める区分(労働時間・時間外・休日・深夜)に振り分ける作業です。締め日に時間がかかる理由の実態調査、1日単位の切り捨てが違反になる端数処理、36協定の上限との照合、給与計算へ渡す前の確認項目を、厚生労働省の資料と法令にもとづいて整理します。

著者: 村山 悠太(ゴムマリ) 最終更新: 2026年10月

差し棚に並んだ、曜日ごとの出勤と退勤の欄がある紙のタイムカード
写真はイメージです

この記事でわかること

  • 集計で出す数字は、賃金台帳に書く項目(労働日数・労働時間数・時間外・休日・深夜の時間数)で決まっています
  • 1日ごとに一定時間未満を切り捨てる丸めは労働基準法違反です。認められるのは、1か月の合計の30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理です
  • 締めの前に、打刻と申請、自己申告と入退場・パソコンの記録の食い違いを先に潰すと、集計のやり直しが減ります
目次
  1. 集計で出す数字は、賃金台帳の項目で決まっている
  2. 締め日に時間がかかる理由
  3. 締め日の手順
  4. 端数処理と丸めの設定
  5. 36協定の上限と、月60時間の数え方
  6. 自力でどこまでやれるか
  7. 仕組みで回すと、何が変わるか
  8. 自力か、システムか、外に頼むか
  9. 次の一歩

勤怠データの集計で間違えやすいのは、足し算ではなく、区分への振り分けと端数の扱いです。打刻の合計が合っていても、法定内と法定外、法定休日と所定休日、深夜の時間を取り違えると、給与計算に渡した時点で割増賃金が誤ります。この記事は、勤怠の締めと集計を担当する人事・労務・総務の実務者に向けて、集計で出すべき数字、締め日の手順、端数処理と上限の照合、給与計算へ渡す前の確認項目を、厚生労働省の資料と法令にもとづいて整理します。

集計で​出す数字は、​賃金台帳の​項目で​決まっている

勤怠の集計で最低限出す数字は、法令で決まっています。労働基準法施行規則54条が賃金台帳に労働者ごとに記入するよう定める事項には、氏名や賃金の額と並んで、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、時間外労働の時間数、休日労働の時間数、深夜労働(午後10時から午前5時)の時間数が含まれます(労働基準法施行規則54条)。集計表の列は、この区分に合わせて作ると、給与計算と賃金台帳の両方にそのまま渡せます。

割増賃金の対象になる時間外労働は、1日8時間・1週40時間(法定労働時間)を超えた時間です(労働基準法32条・37条)。所定労働時間が8時間より短い会社では、所定を超えても法定内に収まる時間が生まれるため、「所定外」と「法定外」を別の列で数えます。所定外の時間にも割増を払う定めが就業規則にあれば、その定めに従って集計します。

締め日に​時間が​かかる​理由

株式会社ヒューマンテクノロジーズが、勤怠を手書きの出勤簿・タイムカード・Excelで管理している中小企業(従業員20名以上300名未満)の勤怠管理担当者110名に行った調査では、毎月の勤怠締めに「8時間以上」かかるが28.2%、「6時間〜8時間未満」が33.6%で、合わせて61.8%が6時間以上かかっていました。締めに時間がかかると答えた31名に理由を聞くと、「打刻漏れや誤打刻の確認・修正作業が多いため」が64.5%、「データ整理や集計が煩雑なため」が61.3%、「勤怠データの収集に時間がかかるため」が51.6%でした(出典: 中小企業の勤怠管理に関する実態調査(前編)・2024年4月11日〜12日・インターネット調査)。

管理の道具も、多くはまだ手作業です。弥生株式会社の調査では、従業員100名未満の中小企業で勤怠管理ソフトの導入率は28.1%にとどまり、導入していない企業の勤怠管理はExcel等が67.3%、手書きが24.7%でした(出典: 中小企業の給与・勤怠・労務管理の実態調査2025・弥生調べ・2025年2月28日〜3月2日・1,000名)。

時間がかかる理由の上位は、足し算そのものではなく、集める・食い違いを直す・形をそろえる工程です。手順を組むときも、ここに手を入れるのが効きます。

締め日の​手順

  1. 集める: 打刻(タイムカード・ICカード・パソコンの記録)、シフト表、各種の申請(残業・休日出勤・休暇・遅刻早退)を、同じ賃金計算期間でそろえる
  2. 食い違いを潰す: 打刻漏れ・誤打刻、申請と打刻の食い違いを、本人と上長に確認して確定させる
  3. 振り分ける: 法定内と法定外、法定休日と所定休日、深夜の時間に分ける
  4. 端数を処理する: 1日ごとには丸めず、1か月の合計に対してだけ認められた処理を当てる
  5. 上限と閾値を照合する: 36協定の上限、月60時間の超過、前月までの累計を確かめる
  6. 給与計算へ渡す: 区分ごとの時間数と、確定の根拠(どの申請・どの修正によるか)を一緒に渡す
  7. 保存する: 出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録を保存する(保存期間は5年、当分の間は3年。労働基準法109条・附則143条)

2の工程では、記録の種類どうしを突き合わせます。厚生労働省のガイドラインは、始業・終業時刻の確認と記録の原則を、使用者が自ら現認するか、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎とすることとし、やむを得ず自己申告制をとる場合は、申告された時間と入退場記録やパソコンの使用時間との間に著しい乖離があれば実態調査をして補正するよう求めています(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)。自己申告と客観記録の両方を持っている会社では、この乖離の一覧を締めの前に出すことが、集計のやり直しを減らす近道です。

端数処理と​丸めの​設定

厚生労働省は、1日ごとに一定時間に満たない労働時間を一律に切り捨て、その分の賃金を支払わないことは労働基準法違反になると明示しています。違反の例として挙げられているのは、勤怠管理システムの端数処理機能で1日の時間外労働の15分未満を一律に切り捨てる設定、30分単位でしか残業申請を認めない運用、打刻前の着替え・清掃・朝礼を労働時間として扱わない運用です(厚生労働省 リーフレット)。

一方で、1か月の時間外労働・休日労働・深夜業のそれぞれの合計に1時間未満の端数があるとき、30分未満を切り捨て30分以上を1時間に切り上げる処理は、事務の簡便を目的としたものとして認められています。1日の労働時間について、一定時間に満たない時間を切り上げて払うことも問題ありません(同リーフレット)。

勤怠管理システムを使っている会社は、設定画面で、日ごとの丸めが切り捨てになっていないかを確かめてください。違反の例に挙がっているのは、システムの機能そのものではなく、その設定の使い方です。

36協定の​上限と、​月60時間の​数え方

時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、次の範囲を超えられません(厚生労働省 時間外労働の上限規制 ハンドブック)。なお、建設の事業・自動車の運転の業務・医師などには、上限の適用の猶予や除外、別の上限があります(同ハンドブック)。

項目 上限 数える時間
年間 720時間以内 時間外労働
単月 100時間未満 時間外労働と休日労働の合計
2〜6か月の平均 すべて1か月あたり80時間以内 時間外労働と休日労働の合計
月45時間を超える月 年6か月まで 時間外労働

2〜6か月の平均は、当月だけを見ても判定できません。集計表に前の5か月分の時間外・休日労働の合計を並べ、毎月の締めで平均を出し直します。

割増賃金の側では、1か月の時間外労働が60時間を超えた部分の割増率が50%以上になります。中小企業にも2023年4月1日から適用されています。60時間の算定には法定休日の労働は含みませんが、それ以外の休日の労働は含みます。60時間を超える時間外労働が深夜に及んだ場合は、深夜の25%と合わせて75%です(厚生労働省 リーフレット)。法定休日と所定休日を集計表で分けておかないと、この60時間の判定を誤ります。

自力で​どこまで​やれるか

拠点が1つで、全員が同じ打刻の方法とシフトの書式を使っている会社なら、Excelの集計表に上の区分の列と、前5か月の累計列を足すだけで回せます。端数処理の関数を1か月の合計にだけ当てる形にしておけば、丸めの違反も防げます。

限界が来るのは、拠点や担当者ごとに打刻の方法やシフト表の書式が違い、色分けや記号(休出・半休・欠勤など)の読み方が担当者の経験に頼っているときです。調査で上位に並んだ「集める」「食い違いを直す」「形をそろえる」の工程がここで膨らみ、集計表を整えるだけでは締めの時間は縮みにくくなります。

仕組みで​回すと、​何が​変わるか

集計の前段の、形式をそろえる工程と食い違いを洗い出す工程は、ルールを決めれば全件に同じ基準で当てられます。人が判断するのは、ルールで白黒がつかない明細だけになります。

ゴムマリの勤怠集計は、勤怠データとシフト表を普段の方法のまま受け取り、全件を同一基準で集計して、「シフト表と打刻の乖離が閾値を超えています」のような検知根拠つきの要確認一覧と一緒に返します。形式の不ぞろいやシフト表の記号の読み取りも含めてお受けします。勤怠管理システムの導入を検討している間も毎月の締めは来るため、システム移行の判断とは別に、今月の締めから軽くできます。

自力か、​システムか、​外に​頼むか

観点 自力(Excelの集計表) 勤怠管理システムを導入 集計だけを外に頼む
前提 書式が全拠点でそろっている 全員の打刻運用の切り替えと就業ルールの設定 いまのデータとシフト表のまま
残る作業 収集・食い違いの確認・振り分け 設定の見直し・例外の確認 要確認の明細の判断
向いている状態 小規模で例外が少ない 打刻の方法から変えられる 形式が拠点ごとに違い、すぐ締めを軽くしたい

次の項目に2つ以上当てはまるなら、集計の仕組みを見直す時期です。

  • 締め日に、打刻漏れや誤打刻の確認に半日以上かかっている
  • シフト表の記号の読み方を、特定の担当者しか知らない
  • 2〜6か月平均の上限を、毎月は計算していない
  • 勤怠システムの丸めの設定を、導入時から確かめていない

次の​一歩

ゴムマリの勤怠集計は、まず1回分の締めから試せます。集計した時間をもとに給与計算の結果まで確かめたい場合は給与計算チェックを、給与計算のチェック項目は給与計算のチェック方法をご覧ください。

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この記事を書いた人

代表 村山悠太のポートレート

村山 悠太(ゴムマリ代表)

国産大手ERPベンダーで新卒からERPのエンタープライズ営業・プリセールス・導入コンサル、外資系SaaSでパートナーセールス部門の立ち上げ、国内大手放送局で新規事業開発(通販カタログ事業)、AIスタートアップ2社でビジネスサイドの要職を歴任。2024年10月から生成AIを自ら実装し、2025年にゴムマリ株式会社を設立。

現在は自らAIエージェントを実装するFDE。評価セット設計・専門家監修・Go/No-Go判定、CRM・会計・社内DBとの統合、減った時間の実測まで一貫します。要件から、運用まで——AIエージェントが、現場で成果を出す仕組みを。

FAQ

よく​ある​質問

勤怠の端数は15分単位で切り捨ててもよいですか?

1日ごとに一定時間未満を一律に切り捨て、その分の賃金を払わない扱いは労働基準法違反です。厚生労働省は、勤怠管理システムの端数処理機能で1日の時間外労働の15分未満を切り捨てる設定を違反の例に挙げています。1か月の時間外・休日・深夜の各合計について、30分未満を切り捨て30分以上を1時間に切り上げる処理は認められています。

時間外労働の割増は、どの時点から50%になりますか?

1か月の起算日から時間外労働を累計し、60時間を超えた時点からです。中小企業にも2023年4月1日から適用されています。60時間の算定に法定休日の労働は含みませんが、それ以外の休日の労働は含みます。

勤怠管理システムを入れれば、集計の確認は不要ですか?

システムは打刻の集計を自動にしますが、端数処理の設定、法定休日と所定休日の区分、申請と打刻の食い違いの扱いは、設定と運用の側に残ります。導入後も、設定が法令に沿っているかと、例外の明細は確かめる必要があります。

拠点や担当者ごとに勤怠データの形式がバラバラでも頼めますか?

頼めます。ゴムマリの勤怠集計は、Excel・PDF・紙のスキャンなど形式が不ぞろいなのを前提に、変換と正規化を含めてお受けします。

シフト表が色分けや記号だけで、書式が決まっていなくても頼めますか?

頼めます。色分けや記号の意味を実例から読み取ったうえで集計し、判断がつかない箇所は要確認としてお示しします。

個人情報を含む勤怠データを外部に渡しても大丈夫ですか?

秘密保持を前提に対応し、必要に応じてNDAを締結してから扱います。個人データの取扱いを委託する側には委託先を監督する義務があるため(個人情報保護法25条)、渡す範囲と保管・削除の方法を着手前に取り決めてください。

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