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サプライチェーンマップの​作り方|​工場の​所在地を​市区町村まで​そろえる​手順

サプライチェーンマップの作り方を、サプライヤーの名寄せから、品番とのひもづけ、工場の所在地の候補づくりと取引先への確認、市区町村コードの付与、更新までの6つの手順で整理します。本店ではなく工場、都道府県ではなく市区町村でそろえる理由を、国税庁・気象庁・総務省の公開資料で確かめて説明し、自社で作るか外に頼むかを決める材料を示します。

著者: 村山 悠太(ゴムマリ) 最終更新: 2026年10月

霞のかかった工業団地に、白い壁の建屋が何列も並ぶ様子を上空から見たところ
写真はイメージです

この記事でわかること

  • サプライチェーンマップの中身は、品番・サプライヤー・工場をつないだ台帳で、地図はその見せ方の一つです
  • 所在地は本店ではなく品番を作る工場で、気象庁の発表と同じ市区町村の単位でそろえ、市区町村コードで突き合わせます
  • 公開情報で確かめられない工場は推測で埋めず、取引先に確かめる先として一覧に残します
目次
  1. 災害のたびに、取引先の一覧を手で引いている
  2. サプライチェーンマップの作り方(6つの手順)
  3. 本店ではなく工場、都道府県ではなく市区町村でそろえる理由
  4. AIを使うと何が変わるか
  5. 自力で作るか、外に頼むか
  6. 次の一歩

サプライチェーンマップの作り方の要は、取引先の工場の所在地を市区町村までそろえ、品番とつなぐことです。本社の住所や都道府県の単位のままでは、災害のときに影響しうる取引先を絞り込めません。この記事は、製造業の調達・SCM・BCPの担当の方に向けて、作り方の6つの手順と、自社で作るか外に頼むかを決める材料を整理します。

サプライチェーンマップとは、どの品番を、どのサプライヤーの、どの工場で作っているかをつないだ台帳です。地図はこの台帳の見せ方の一つで、中身は表です。台帳があれば、地震や大雨のときに、被災した地域にある工場と、そこで作っている品番を引けます。

災害の​たびに、​取引先の​一覧を​手で​引いている

地震や大雨のたびに、被災した地域とサプライヤーの一覧を見比べ、影響しうる取引先と部品を担当者が手で引いていることがあります。一覧に所在地があっても、本社の住所か、都道府県の単位までのことがあります。本社の住所では部品を作っている工場の場所が分からず、都道府県の単位では、県内の一部の地域に大雨の警報が出ただけで、県内の取引先が全部当てはまります。

取引先まで含めた備えは、自社の計画づくりほど進んでいません。内閣府の「令和7年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」(2026年3月公表・調査対象5,052社・回答率34.8%)では、事業継続計画(BCP)の策定率は大企業で75.8%、中堅企業で54.8%、業種別では製造業で66.3%でした。一方で、サプライチェーン対策に取り組む企業は、大企業で約5割、中堅企業で約2割にとどまります。同じ調査で、取り組んでいるか検討中の企業が挙げた具体的な取組のうち最も多いのは、大企業・中堅企業ともに「仕入先の複数化」と「仕入先への確認(リスクコミュニケーション)」です(内閣府 調査の概要・別紙①・別紙④)。仕入先に確かめるにも、どの仕入先のどの工場に聞くかを引ける台帳が要ります。

サプライチェーンマップの​作り方​(6つの​手順)

1. サプライヤーの一覧を一つにそろえる(名寄せ)

サプライヤーの一覧は、購買の取引先コード、経理の取引先マスタ、部署ごとのExcelに分かれ、同じ会社が別の名前や番号で載っていることがあります。最初に、これを1社1行にそろえます。国内の法人なら、そろえる鍵に13桁の法人番号が使えます。海外の取引先や個人事業主には法人番号が無いことがあるので、その場合は社内コード・社名・国と都市で持ちます。国税庁の法人番号公表サイトでは、名称や所在地から取引先の法人番号を調べられ、取引先が多いときはCSVの一括ダウンロードやWeb-APIで突き合わせられます(国税庁 法人番号とは)。進め方は法人番号で名寄せする方法に整理しています。

2. 品番ごとの購入先とつなぐ

品番マスタや発注データから品番ごとの購入先を取り出し、そろえたサプライヤーとつなぎます。ここで、1社にしか頼めない品番の一覧も作れます。ただし、品番の大半が1社にしか頼めない会社では、この一覧だけでは、災害のときにどこから確かめるかの絞り込みにならないことがあります。その場合は、在庫の持ち方や、止まったときに影響する製品の範囲を、担当者の判断として台帳に足します。

3. 工場の所在地の候補を、公開情報から作る

所在地は、取引先の本店ではなく、その品番を作っている工場で決めます。本店の所在地では、工場のある地域で起きた災害に当てはまらないからです。取引先が公開している会社案内・拠点の一覧・工場の新設や移転の発表から、工場の所在地の候補を作り、根拠にした情報の所在(URL)と確かめた日を行ごとに残します。工場を複数持つ取引先では、どの工場でその品番を作っているかまでは、公開情報では分からないことがあります。

4. 確かめられない拠点は、取引先に確かめる

公開情報で確かめられない拠点は、推測で埋めずに「確かめられなかった拠点」として一覧に残し、取引先に聞きます。聞くのは、品番(または品目)ごとに、作っている工場の名前と所在地です。2次以降の取引先は自社の発注データに出てこないため、1次の取引先への調査票に欄を設けて聞くことになります。

5. 市区町村コードと緯度経度を付けて台帳にする

所在地には、市区町村コードと緯度経度を付けます。市区町村コードは、市区町村の単位で出る気象庁の発表と突き合わせる鍵です(政令指定都市の区と、分割して発表される市町村は、発表の区域との対応表を別に持ちます)。緯度経度は、地図に点を打つほか、気象庁が震度5弱以上の地震で発表する推計震度分布図(250m四方ごとの推計)と重ねるのに使います(気象庁 地震情報について)。台帳の列は、次の5つのまとまりで足ります。

列のまとまり 中身 出どころ
取引先 法人番号・社名・社内の取引先コード 社内の各部署の一覧、法人番号公表サイト
拠点 工場の名前・所在地(市区町村まで、海外は都市)・市区町村コード・緯度経度 公開情報、取引先への確認
品目 品番・取引先・拠点の組み合わせ 品番マスタ、発注データ
供給の依存 代わりの調達先の有無・在庫の持ち方・止まったときに影響する範囲 担当者の判断、発注データ
根拠 所在地の根拠(URL・取引先の回答)と確かめた日 行ごとに記録

6. 毎年と、新しい取引先のたびに更新する

台帳は、作ったときから古くなり始めます。新しい品番や取引先は、発注データと台帳を突き合わせ、台帳に無い組み合わせが出たら足します。社名や本店の所在地の変更は、法人番号公表サイトが公表している変更履歴で拾えます。工場の新設・移転・閉鎖は、取引先の発表か、年1回の調査で確かめます。

市区町村の側も変わります。総務省の全国地方公共団体コードは、市町村の名前が変わるだけならコードを変えません。合併のときは、新しい市町村が元のコードの1つを引き継ぐか新しいコードが付き、ほかのコードは欠番になります(総務省 全国地方公共団体コード仕様・7)。合併や市制施行のあった年は、台帳のコードを照らし直します。

自力で作れる範囲と、その限界

取引先が少なく、担当者が取引先ごとの工場の場所を把握しているなら、この6つの手順は自社のExcelで足ります。限界は2か所で来ます。一つは手順3で、取引先ごとに公開情報を読み、品番を作る工場を見当づける作業は、取引先の数だけ時間がかかります。もう一つは手順6で、更新が担当者の手作業に頼っていると、忙しい時期や担当の交代で止まり、災害のときに古い台帳を引くことになります。

本店ではなく​工場、​都道府県ではなく​市区町村で​そろえる​理由

法人番号で引けるのは本店の所在地

法人番号公表サイトが公表する基本3情報は、商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地、法人番号です(国税庁 法人番号とは)。工場や事業所の所在地は、公表する情報に挙げられていません。本店が東京にあり工場が地方にある取引先を本店の住所で台帳に載せると、工場のある地域で災害が起きても、その取引先は当てはまりません。名寄せには法人番号を使い、所在地は工場で別に持つ、と分けて考えます。

気象庁の発表は市区町村の単位

気象の警報・注意報は、市町村(東京特別区は区)を原則とする区域(二次細分区域)に発表されます。一部の市町村は、分割して区域が設定されています(気象庁 気象警報・注意報や天気予報の発表区域)。地震では、発生から約1分半後の震度速報は全国を188に分けた地域の単位で、続く震源・震度情報で、震度3以上を観測した地域名と市町村ごとの震度が発表されます(気象庁 地震情報について)。台帳の所在地を市区町村までそろえておけば、多くの市町村は、発表された区域と工場の所在地をコードで突き合わせられます。政令指定都市の区や、分割して発表される市町村(横浜市北部・南部など)は、区や地区と発表の区域の対応表を別に持ちます。

以下は理解のための設例です。実在の企業のデータではありません。同じ県に取引先の工場が8か所あり、県内の2つの市に大雨の警報が出たとします。県の単位までの台帳では、8か所すべてが当てはまります。市区町村まで入った台帳なら、確かめる先は2つの市にある工場に絞れます。

市区町村は、名前ではなくコードで突き合わせる

府中市が東京都と広島県にあるように、同じ名前の市区町村が別の都道府県にあります。突き合わせは名前ではなくコードで行います。総務省の全国地方公共団体コードは、都道府県を表す2桁と市区町村を表す3桁に、検査数字1桁を加えた6桁です(総務省 全国地方公共団体コード仕様・3と6、コードの一覧)。気象庁の防災情報XMLの電文でも、市町村は名前と7桁のコードで載ります。2026年10月19日に取得した震源・震度に関する情報と気象警報・注意報の電文で通常の町村・市で確かめた例では、7桁の上5桁が、全国地方公共団体コードの検査数字を除いた5桁と同じでした。政令指定都市は、警報の区域が区ではなく市か市の分割の区域で出るため、区のコードとは上5桁が一致しません。

AIを​使うと​何が​変わるか

AIを使うと変わるのは、手間が取引先の数に比例する作業です。名寄せでは、表記のゆれた社名に法人番号の候補を当て、合わない行だけを人が見る一覧にできます。所在地では、取引先ごとに公開情報を読み、全社について工場の候補と根拠のURLを調べる作業をまとめて回せます。品番と拠点のひもづけも同じです。

AIに任せないこともあります。候補の根拠を確かめるのは人で、取引先に確認を送るのは発注側、どの部品が重要かを決めるのは担当者です。

ゴムマリは、製造業の現場で、部品の生産拠点の一覧を気象庁などの発表と突き合わせ、影響しうる取引先と部品の一覧を出す仕組みを作りました。災害の知らせを生かせるかは、突き合わせる相手の台帳があるかで決まります。

ゴムマリは、台帳を災害のときに使う場面にも線を引いています。気象業務法は、気象庁以外の者が予報の業務を行うには気象庁長官の許可が要ると定め(第17条)、政令で定める場合を除き、気象庁以外の者が警報をすることを禁じています(第23条)(e-Gov法令検索 気象業務法)。ゴムマリは、災害の予測をせず、自分の名前で警報を出しません。お届けするのは、気象庁などの発表と台帳を突き合わせた、影響しうる取引先と部品の一覧です。

自力で​作るか、​外に​頼むか

観点 自力で作る 外に頼む
向いている会社 取引先が少なく、担当者が工場の場所を把握している 取引先が多い、一覧が部署ごとに分かれている、工場の場所が分からない取引先が多い
名寄せ 法人番号公表サイトで1社ずつ調べるか、CSVで突き合わせる 一括で付け、合わない行の一覧を受け取る
工場の所在地 担当者が取引先の公開情報を1社ずつ調べる 根拠つきの候補と、確かめられなかった拠点の一覧を受け取る
取引先への確認 文面を自社で作って送る 文面の下書きを受け取り、自社で送る
更新 担当者が年1回と、取引先が増えたときに直す 継続の運用として頼むか、台帳を受け取って自社で直す

自力の利点は、取引先との普段のやり取りの中で工場の場所を確かめられることと、台帳の中身を担当者がよく知っていることです。次のうち当てはまるものが多いほど、外に頼む意味が出ます。

  • サプライヤーの一覧が部署ごとに分かれ、同じ会社が別の名前で載っている
  • 一覧の所在地が、本社の住所か都道府県の単位まで
  • 工場を複数持つ取引先が多く、どの工場で何を作っているかが分からない
  • 前の災害のとき、影響しうる取引先の一覧を、担当者が手で見比べて作った
  • 一度作った一覧の更新が止まっている

反対に、品番ごとの購入先を品番マスタや発注データから出せないなら、マップより先に、品番と購入先の整備から始めます。

次の​一歩

まず、いまあるサプライヤーの一覧と品番の一覧から、サプライチェーンマップの作成で台帳を作れます。工場の所在地を市区町村(海外は都市)まで特定した拠点の一覧(緯度経度・市区町村コードつき)、品番・サプライヤー・拠点をつないだ台帳、1社にしか頼めない品番の一覧、所在地を確かめられなかった拠点の一覧と取引先へ確かめる文面の下書きをお返しします。価格と納期は、お預かりする一覧の分量を確かめて、着手前に確定します。

台帳の毎年の更新と、災害のときに影響しうる取引先と部品の一覧のお届けは、業務AIエージェント導入で続けられます。

関連記事: 法人番号で名寄せする方法/名寄せ・整形の実務/Excel台帳のデータベース化/SCS評価制度の取引先管理

この記事を書いた人

代表 村山悠太のポートレート

村山 悠太(ゴムマリ代表)

国産大手ERPベンダーで新卒からERPのエンタープライズ営業・プリセールス・導入コンサル、外資系SaaSでパートナーセールス部門の立ち上げ、国内大手放送局で新規事業開発(通販カタログ事業)、AIスタートアップ2社でビジネスサイドの要職を歴任。2024年10月から生成AIを自ら実装し、2025年にゴムマリ株式会社を設立。

現在は自らAIエージェントを実装するFDE。評価セット設計・専門家監修・Go/No-Go判定、CRM・会計・社内DBとの統合、減った時間の実測まで一貫します。要件から、運用まで——AIエージェントが、現場で成果を出す仕組みを。

FAQ

よく​ある​質問

地図のツールが無くても、サプライチェーンマップは作れますか?

作れます。中身は、品番・サプライヤー・工場をつないだ表で、Excelで持てます。地図に表示するのは、緯度経度を付けたあとの見せ方の一つです。地図の道具や監視のツールを使うときは、台帳をCSVで取り込みます。

2次・3次の取引先まで分かりますか?

2次以降の取引先は、自社の発注データには出てきません。1次の取引先への調査票に欄を設けて聞く形になります。ゴムマリのサプライチェーンマップの作成は、直接の取引先(1次)が対象です。

災害が起きたときに、知らせてもらえますか?

ゴムマリは災害の予測をせず、自分の名前で警報を出しません。サプライチェーンマップの作成は、台帳を作るところまでです。気象庁の発表と台帳を突き合わせ、影響しうる取引先と部品の一覧をお届けする運用は、業務AIエージェント導入(月額)で続けられます。

取引先の一覧や品番の一覧を、外に渡しても大丈夫ですか?

ゴムマリは秘密保持契約(NDA)を締結のうえお預かりし、AIの学習に利用されない環境で処理します。お預かりしたデータは案件終了時に削除し、削除の事実を記録します。

単発でも頼めますか?

頼めます。導入やアカウント発行は不要で、サプライヤーの一覧と品番の一覧をお渡しいただくだけで承ります。価格と納期は着手前に確定します。

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