ホーム / お役立ち記事 / SaaS企業のAI活用|プロダクトに載せるAIと、社内を回すAIは別物——2系統の進め方
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SaaS企業のAI活用には、プロダクトにAI機能を組み込む系統と、マーケ・営業・CSの社内業務をAIエージェントで回す系統の2つがあり、要る検証も進め方も別物です。法務領域のSaaSで実施したAI機能PoC(評価セット約100件・専門家監修・Go/No-Go判定)の実例をもとに、両系統の進め方と順番を実装企業が解説します。

この記事でわかること
SaaS企業にとってAIは、プロダクトの機能でもあり、社内を回す道具でもあります。この2つは「AI活用」と一括りにされがちですが、要る検証・費用の性質・失敗の形がまったく別物で、混ぜて計画すると両方が止まります。
この記事は、両系統の違いと進め方を、SaaSプロダクトへのAI機能PoCと社内業務のAI実装をどちらも手がける立場から解説します。読み手として想定するのは、SaaS・プロダクト企業のプロダクト責任者・経営者です。
系統1は、プロダクトにAI機能を載せること。 競合との差別化・解約率・単価に直結する、プロダクト投資です。失敗の形は「デモでは動いたが、本番品質に届かず出荷できない」または「出荷したが誤りが多く、顧客の信頼を損ねる」。
系統2は、社内業務をAIエージェントで回すこと。 マーケ・営業・CS・バックオフィスの運営効率への投資です。失敗の形は「ツールを入れたが定着しない」「点在する自動化が増えただけで、業務全体は軽くならない」。
投資判断の重さが違います。系統1は開発ロードマップと顧客への約束が懸かるため、着手前に「精度が出るのか」への答えが要ります。系統2は可逆で、1業務から試して結果で判断できます。以下、順に見ます。
生成AIの機能は、デモを作るのは簡単です。本番品質は別物で、とくに判定・チェック・審査のような「間違えられない」機能ほど、出荷前の精度検証が成否を分けます。
進め方の型は3段です。
当社の実例では、法務領域のSaaS企業で、契約関連の法令チェックAI機能のPoCをこの型で実施しました。想定される入力の型をひととおり含めた約100件の評価セットを設計し、弁護士監修のループで判定基準を固め、Go判定から本実装フェーズへ進んでいます(事例)。進め方と価格の詳細はAI機能PoC(サービス)にまとめています。
もう1点、見落とされがちなのは載せたあとです。モデルは更新され、入力の分布は変わるため、AI機能は放置すると劣化します。精度の継続評価と判定基準のメンテナンスを、リリース後の運用に最初から組み込んでください。
SaaS企業の社内業務は、データも成果物もデジタルで完結しているものが多く、AIエージェントを入れやすい環境です。型のある領域から挙げます。
マーケティング。 コンテンツの制作・リードデータの整備・スコアリングなど、量がボトルネックになっている業務です。このうち1つの業務をAIエージェントで回すなら、AIエージェント導入があります。
営業。 ターゲットリストの作成・企業調査・商談データの分析です。
SFAに貯まった商談データの取りこぼし分析は製造業の実例ですが、構造はSaaSの営業でも同じです(失注分析では、営業の最大の取りこぼしは見えない)。営業側で取りこぼしを見つけるなら、営業データ診断があります。
カスタマーサクセス・サポート。 問い合わせの一次対応・分類、そして解約理由やNPSの自由記述の全件分析です。顧客の声の分類・分析の方法はVoC分析の進め方に書いています。
いずれも、最初から全社基盤を構想する必要はありません。効いているか判断できる単位——1業務——から始めて、結果で広げるかを決めるほうが、定着まで含めて速く着きます。
判断の軸は「いま何が事業の制約か」です。競合がAI機能を出し、商談で「AIはないのか」と聞かれ始めているなら系統1が先です。ただし、いきなり開発着手ではなくPoCで精度を数字にしてから投資判断してください。
一方、機能面の差別化は保てているが、採用が追いつかず運営が回らないなら系統2が先です。こちらは1業務・数週間の単位で試せます。
両系統に共通する注意はデータの扱いです。顧客データ・プロダクトのログを扱う以上、AIの学習に使われない処理環境と、NDAを含む契約面の整備を、着手前に確認してください。確認する項目はAIエージェント導入のセキュリティに整理しています。
プロダクトに載せたいAI機能があるなら、精度を数字にするところから。社内の運営が制約なら、効く1業務の特定から。どちらの入り口でも、お問い合わせからご相談ください。
ワークスアプリケーションズで大手企業向けERPの営業と導入を担当し、外資系SaaS企業と国内大手放送局で販路と新規事業の立ち上げ、AI学習用データを扱うAIスタートアップ2社でマーケティングと営業を担った。2024年10月から生成AIの実装に入り、いまは大手企業の現場で、AIエージェントを要件定義から運用まで手がけている。
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FAQ
系統1のボトルネックは、実装力より評価設計です。評価セットの設計・専門家監修の回し方・Go/No-Goの基準づくりは、AI機能の検証を繰り返した経験がないと車輪の再発明になります。検証の枠組みを外部で作り、実装は内製へ引き継ぐ分担も成立します。
No-Goの判断材料そのものが成果物です。評価セットと判定基準は残るため、モデルが進化した時点で同じ物差しで再検証できます。「出るまで分からないまま開発に投資する」ことと比べての費用対効果で判断してください。
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