ホーム / ナレッジ / 業務削減アセスメントとは?棚卸しワークショップから真因特定までの進め方
業務削減アセスメントとは、どの業務にどれだけ時間が溶けているかを棚卸しと実データから特定し、削減の打ち手と順番を設計する診断です。ヒアリングだけでは真因に届かない理由、対象選定から真因の構造化までの5ステップ、成果物、実装への接続を、全社規模の業務削減を推進する立場から整理します。読み手は部門長・経営企画の方です。
著者: 村山 悠太(ゴムマリ) 最終更新: 2026年7月
この記事でわかること
「業務を減らせ」と号令は掛かるものの、どの部署の・どの業務に・どれだけ時間が溶けているかが定量化されていない——業務削減が進まない現場の多くは、この一点でつまずいています。業務削減アセスメントは、その空白を埋めるための診断です。この記事は、アセスメントの定義と進め方、成果物、その後の実装への接続を整理します。読み手は、全社または部門の業務削減を任された部門長・経営企画の方です。
業務削減アセスメントとは、どの業務にどれだけの時間が使われているかを棚卸しと実データの両面から特定し、削減の打ち手と着手の順番を設計する診断です。 目的は、感覚や声の大きさで施策を決めるのをやめ、「どの業務が、どれだけ減るか」を数字で持つことにあります。
号令だけで業務削減が進まないのは、意欲の問題ではありません。基幹・営業・人事給与などのシステムが個別に並立し、データも業務も分断されている大きな組織ほど、全体像が誰にも見えていないからです。全体像がなければ、最初の一歩を具体的に決められず、施策はガイドライン整備や研修といった間接的な打ち手に流れていきます。アセスメントは、その手前で全体像を作る工程です。
アセスメントというと、各部署へのヒアリングを思い浮かべる方が多いはずです。ヒアリングは欠かせませんが、それだけでは真因に届きません。
現場が語る「この作業が大変です」は、多くの場合、症状であって原因ではないからです。人は自分が毎日触れている作業を大変だと感じますが、実際に時間を溶かしているのは、その手前にある転記や、システム間の分断、例外処理の多さだったりします。声の大きい部署の訴えが、必ずしも削減インパクトの大きい業務とは限りません。
だから当社は、現場の言葉を症状として受け取り、実データと突き合わせて構造化します。件数・所要時間・頻度といった数字で裏を取ると、体感と実態のずれが見えてきます。「大変だと言われている業務」ではなく「本当に時間が溶けている業務」から手を付けるために、この突き合わせが要ります。
当社のアセスメントは、おおむね次の5段階で進みます。
第一に、対象の選定です。全部署を同時に見るのではなく、削減インパクトが大きそうな領域や、経営が優先する事業部から入ります。ここで範囲を切ることが、診断を絵に描いた餅にしないための最初の判断です。
第二に、現場でのワークショップによる棚卸しです。外部の助言者としてではなく現場の一員として各部署に入り込み、日々の業務を洗い出します。資料に出てこない業務、担当者の頭の中だけにある手順、例外処理の実態を、この場で表に出します。
第三に、データでの裏取りです。棚卸しで出た業務を、件数・所要時間・頻度の実データと突き合わせます。体感で「大変」とされた業務が本当に時間を溶かしているのか、数字で確かめます。
第四に、真因の構造化です。個別の症状を、共通する原因ごとにまとめ直します。転記の多さ、システムの分断、属人化、例外の多さ——原因の型が見えると、一つの打ち手で複数の業務が同時に軽くなる場所が浮かびます。
第五に、クイックウィンとロードマップの提示です。すぐ効く改善(クイックウィン)は先に着手できる形で起票し、基幹連携やAIエージェント化のように腰の据わったテーマは中長期のロードマップに並べます。効く順に、着手できる形で渡すのが最後の工程です。
アセスメントの成果物は、報告書一式としてお渡しします。具体的には、業務の棚卸しと課題の構造化、削減ポテンシャルの試算、改善テーマをステータス・部署・規模で並べたポートフォリオ、そして経営への成果報告の枠組みです。成果報告の枠組みは、削減時間の累計だけでなく「AIで何が新しくできるようになったか」も併せて示せる形にしており、数字の足し算ではなく業務変革の進捗として経営と共有できるようにしています。
アセスメントは診断であって、それ自体が業務を減らすわけではありません。価値が出るのは、特定した打ち手を効く順に実装へ接続してからです。当社はこの診断をAI実装FDEの入口に位置づけており、FDE(Forward Deployed Engineer)とは現場に入り込み、AIエージェントで業務を実装し、成果が出るまで運用する役割です(詳しくはFDEとは)。診断で可視化した改善テーマを、クイックウィンから順に業務のエージェント化・仕組み化へつなげます。個別業務のエージェント化を単体で進める場合はAIエージェント導入、製造業での具体像は製造業でAIエージェントは何ができるかにまとめています。
当社は、大手機械メーカーの現場で全社規模の業務削減を推進しています。約50部署を横断して業務を棚卸しし、Notionを全社の管制塔に据えて、100件超の改善テーマをステータス・部署・規模で可視化しました。この過程で、年間数万時間規模の削減ポテンシャルを特定し、クイックウィンから順に実装へ接続しています。詳細は全社約50部署の業務を棚卸しした事例をご覧ください。
ヒアリングだけの調査と、何が違うのですか。 現場の言葉を実データと突き合わせて構造化する点が違います。ヒアリングで出るのは多くが症状で、時間を溶かしている真因は別の場所にあることがあります。件数・所要時間・頻度の数字で裏を取ってから打ち手を決めます。
全部署を一度に見てもらえますか。 一度に全部を見るより、削減インパクトの大きい領域や経営が優先する事業部から入るほうが、診断が具体的な着手に結びつきます。範囲を切ることは、アセスメントの最初の判断そのものです。
アセスメントだけを頼むこともできますか。 できます。当社のアセスメントは固定価格の商品としてお出ししており、価格は100万円〜(固定価格・事前提示)です。診断の結果を見てから実装に進むかを判断していただけます。
成果物は現場でも使えますか。 使えます。改善テーマをステータス・部署・規模で並べたポートフォリオは、経営への報告だけでなく、現場が着手順を確認しながら進めるための管制塔としても機能します。
自部門について、「どの業務の、どれだけの時間を減らすか」を数字で一文に書けるか試してみてください。書けなければ、そこがアセスメントの出番です。当社の業務データ診断(AI実装FDEの入口)は、現場でのワークショップと実データの分析から、真因と打ち手、実行計画までを報告書一式でお渡しします。価格は100万円〜(固定価格・事前提示)です。
国産大手ERPベンダーで新卒からERPのエンタープライズ営業・プリセールス・導入コンサル、外資系SaaSでパートナーセールス部門の立ち上げ、国内大手放送局で新規事業開発(通販カタログ事業)、AIスタートアップ2社でビジネスサイドの要職を歴任。2024年10月から生成AIを自ら実装し、2025年にゴムマリ株式会社を設立。
現在は自らAIエージェントを実装するFDE。評価セット設計・専門家監修・Go/No-Go判定、CRM・会計・社内DBとの統合、減った時間の実測まで一貫します。要件から、運用まで——AIエージェントが、現場で成果を出す仕組みを。