社内データ整備は、AI活用の前提条件ではなく最初のAI活用テーマです。「データがきれいになってからAIを入れる」という順番で考えると、基盤構築が終わらないままAI活用も止まります。実際に効くのは逆で、使いたい業務を1つ決め、その業務に必要なデータだけをAIの力も使って整える進め方です。この記事は、AI活用したいがデータの散らかりで止まっている情シス・DX推進担当に向けて、整備の順番を整理します。
データ整備が挫折する典型は、対象を全社にした瞬間に起きます。部門ごとにシステムも入力ルールも違うため、統一しようとすると調整コストが際限なく増え、成果が出る前に推進の熱が冷めます。一方で、業務を1つに絞れば、必要なデータは数システム・数万行程度に収まることがほとんどです。整備の単位は「全社」ではなく「業務」で切るのが定石です。
「営業の失注分析をしたい」「問い合わせの傾向を見たい」のように、データを使う業務を先に決めます。使途が決まれば、必要なデータの範囲・粒度・鮮度が自動的に決まり、整備のゴールが検証可能になります。使途なしの整備は、どこまでやれば終わりかを誰も判定できません。
決めた業務に必要なデータがどのシステムにあり、誰が持っていて、どんな形式かを一覧にします。ここで見つかるのは、たいてい「同じ顧客が システムごとに別名で登録されている」「Excelの列構成が年度ごとに違う」といった表記ゆれ・形式のばらつきです。
表記ゆれの統一・重複の突合・形式の正規化は、従来は人手の根気仕事でしたが、いまはAIエージェントが最も得意とする工程の1つです。関数やマクロで書き切れない「株式会社の有無」「旧社名と新社名」のような判断込みの突合も、基準を決めて全件に同じ判断を当てられます。具体的な進め方は名寄せ・整形の実務に整理しています。
整備は一度きりの掃除ではなく、業務で使われ続けることで維持されます。使途のあるデータは汚れに気づかれ、直されます。使途のないデータをきれいに保つ仕組みは存在しません。
対象が1システム・数千行以内で、表記ゆれのパターンが少なければ、表計算のフィルタと関数で足ります。自力の壁は、複数システムをまたぐ突合と、機械的なルールで書き切れない判断込みの名寄せです。件数が万を超えるか、突合キーが名前や住所のような自然言語になった時点で、人手の見直しは物量的に破綻します。
「一覧が欲しい」だけなら自力で足りることが多く、「このデータで分析・AI活用まで進めたい」なら外注の検討域です。ゴムマリではデータ整理・名寄せを成果物単位で提供しており、整備したデータでの分析・業務実装まで進める場合はAI実装FDEが受け皿になります。外注費用の一般相場は業務の外注相場まとめに整理しています。
データが複数システムに散らばっていて、エクスポートの形式もバラバラです。
その状態から着手できます。むしろ形式のばらつきを揃えることが整備の中身です。受け取れるのはCSV・Excel・システムからの生エクスポートなど形式を問いません。
どこまで整備すれば「AIに使える」状態ですか?
使途によります。傾向分析なら表記ゆれの統一まで、業務の自動化に組み込むなら更新の仕組みまで必要です。使途を先に決めれば、必要十分な整備ラインを最初に提示できます。
個人情報を含むデータの扱いは?
受け渡し前にマスキング方針を合意し、分析に不要な個人情報は受け取らない設計にします。NDAは標準で締結します。
まず、AIで解きたい業務を1つ決め、その業務に必要なデータがどこに何件あるかを数えてください。それが整備の分母です。データの所在と件数がわかれば、相談から進め方と固定価格を回答します。
国産大手ERPベンダーで新卒からERPのエンタープライズ営業・プリセールス・導入コンサル、外資系SaaSでパートナーセールス部門の立ち上げ、国内大手放送局で新規事業開発(通販カタログ事業)、AIスタートアップ2社でビジネスサイドの要職を歴任。2024年10月から生成AIを自ら実装し、2025年にゴムマリ株式会社を設立。
現在は自らAIエージェントを実装するFDE。評価セット設計・専門家監修・Go/No-Go判定、CRM・会計・社内DBとの統合、減った時間の実測まで一貫します。要件から、運用まで——AIエージェントが、現場で成果を出す仕組みを。