課題
サービス部門の問合せや作業の記録は Salesforce に入っています。ところが、この記録を横断して調べ、数えるのは簡単ではありませんでした(数値はいずれも概数です)。
検索したい項目は、問合せの記録へコピーする仕組みを作って対応していて、項目が増えるたびに作業が増えます。レポートは親子の2階層までで、複数の種類の記録にまたがる集計は作れません。横断の分析の依頼が来ると、記録の種類ごとにレポートを書き出し、Excel で結合して取り込んでいました。Salesforce のアカウントを持たない方は、過去の作業の履歴を見られません。
前のシステムにも、修理の過去の記録が残っていました。
やったこと
1. 入力は Salesforce のまま、見る場所を Notion に作る
入力の画面は変えず、Notion の表は読み取り専用にしました。Salesforce 側には何も足していません。
同期には Notion Workers(Notion の上で動くプログラム)を使い、すでに動いていた Salesforce の同期に足す形で作りました。
2. 8種類の記録を、つながりを保って毎日入れる
問合せ・作業の依頼・部品・対象の機械・作業時間・費用など8種類の記録について、取得できる項目(約380列)を同期しています。Salesforce の記録どうしのつながりは Notion の関連として保ち、1件の問合せから部品・作業・費用をたどれます。
更新は1日1回、変わった行だけを書く形です。
3. 前のシステムの過去データを、同じ表へ入れる
案件・修理の記録・納めた機械の記録を、合わせて約8.5万行取り込みました。元のデータは約780列あります。Salesforce に同じ項目がある列はその列へ、無い項目は各行の備考に「項目名: 値」の形で入れ、値は原文のまま残しました。
修理の記録はあるのに案件の行が無い約1,200件は、修理の記録の項目から案件の行を作りました。どのシステムの行かが分かる列も設けています。
取り込みの後は、8種類の件数を Salesforce と照らし、過去データは親子の関連 約1万件と、無作為に抜いた30行の全項目を投入元と比べました。
4. 集計の表も、同期の中で作る
機種別(2本)・部署別・担当者別の集計の表4本を、同期の中で計算して書き出しています。見方ごとのビューも用意し、あらかじめ数えた結果を開くだけで見られます。
難しかったこと
同期が作った表には、同期からしか行を足せない。 Notion Workers の同期が持つ表は、公開の API では行を足せません。そこで過去データも取り込み専用の同期で入れることにし、データは Notion の通常の表にファイルとして置いて、同期がそれを順に読む形にしました。同期の書き込み先を指定する設定も効かなかったため、書き込み先の表ごとに同期を分けています。
日本語の1文字だけが、例外も警告もなく化ける。 同期が1回に返す値の32KiB(32,768バイト)ごとの区切りに字がかかると、その字が置換文字(化けた字に入る記号)に変わります。同期は成功の扱いのままです。返す値の作り方で防ぎ、同期の後に、同じ仕組みで動く既存の表も含む12の表の全セルで置換文字を数えて0であることを確かめました。原因と直し方は、Notion Workers の同期で日本語が1文字だけ化ける理由に公開しています。
実行の回数に上限があり、超えると全部の同期が止まる。 同期を12本同時に動かすと、1時間に約420回の実行でほかの同期も含めて止まりました。そこで1時間に約400回で見積もり、過去データの取り込みの間は既存の同期を止めました。約8.5万行の取り込みは約10時間かかりましたが、途中で止まっても印を付けた所から続きを入れられる作りにしました。
納品物
Notion Workers の同期のプログラム、8つの表と集計の表4本、見方ごとのビュー、機種や症状から過去の修理の前例を Notion AI に探させるページ、全体で最初に開くページ、取り込みの内容と集計の考え方の説明資料です。
その後
合意から数日で初版をご案内しました。課題だった横断の検索と集計に使う、Notion の表とビュー(集計の表4本を含む)を用意しました。10月下旬の時点でも、8種類の記録と集計の表は毎日の更新が動いています。Notion で頼めることの全体は、Notion の構築と開発にまとめています。
同じ型が効く業務
入力は今のシステムのまま、見ることと数えることだけを別の場所でしたい業務は、サービス部門に限りません。受注や問合せの履歴、設備の保全記録など、情報が親子に分かれていて、標準のレポートでは横断できないデータは同じ形です。
この案件では、元のシステムに何も足さず読み取りだけにしたので、入力の手順を変えずに始められました。前のシステムの記録を同じ表に入れておくと、システムが替わった時期をまたいで同じ表で記録を引けます。
