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BtoB企業

人手で​約7時間かけていた​月次の​比較資料を、​約30秒で​自動生成——​作る​時間を​99%以上​短縮し、​約6.6万セルは​完全一​致

基幹システムの出力をExcelに貼り、人手で並べ替えて作っていた3種類の資料を、自動で作るプログラムを作りました。人手の完成品と同一かどうかは、作った側のプログラムと検証の報告を見ずに、全量を計算し直して照らし合わせてから報告しています。

作る時間は、月次の分析1セット(人手で約7時間・お客様の作業時間)の原価の差を比べる表が約30秒(全量の1回の実行・実測)に、滞留在庫を調べる表は作った範囲を約30秒で生成。原価の差を比べる表は約1,200行・約6.6万セルが人手の完成品と完全一致(全量では並び順に依存しない内容ベースで99.46%)。滞留在庫を調べる表は2か月分・約60万セルで、作った範囲の値が人手の表とすべて一致。連結業績の差の要因分解は説明資料に転記された約30の数値と1円未満で一致し、資料とデータの食い違いを4件検出

表計算を表示したノートPCと操作する手
写真はイメージです
規模
中堅〜エンタープライズ
担当
村山 悠太(代表・設計から実装まで)
支援内容
  • 人手の完成品からの並べ方ルールの実測導出
  • 基幹システムの生出力を入口にした、資料を自動で作るプログラムの構築(3種類)
  • 作った側のプログラムと検証の報告を見ずに行う照合と、測り方を開示した検証結果の文書化
  • 増減要因と連結業績の差の候補を金額順に並べたデータベースの試作

課題

数字そのものは、基幹システムに正確に溜まっていました。問題はその先です。システムの出力をExcelに貼り、人手で並べ替え、前の期間と突き合わせ、増減の理由を書き添える。この工程が3種類の資料(品目ごとの原価の差を比べる表、滞留在庫を調べる表、連結業績の差の要因)でそれぞれ定期的に回っていました(数値はいずれも概数です)。

作れる人が限られること以上に厄介だったのは、途中の1行がずれても合計は合ってしまう点です。合計の検算を通しても、個別の行が誤って表示されている状態は残ります。人手の作業には、こうした「合計では発見できない型」の揺れが混ざります。

やった​こと

1. 人手の完成品を仕様書として、並べ方のルールを逆算する

要件を聞き取って設計するのではなく、担当者が作った完成品そのものを正解データとして扱い、並べ方のルールを実測で導出しました。突合キーの組み合わせ、代替品どうしをペアにする規則、行の並び順、そして「差がゼロでない行だけが降順に並んでいる」こと。最後の1つは仕様ではなく、担当者が表計算のフィルタ機能を使った作業の痕跡でした。これを入れるかどうかで、一致率は98.31%と100%に分かれました。

2. 人手を経た後のExcelではなく、生の出力を入口にする

当初は貼り付け済みのExcelを入口にしていましたが、基幹システムの生出力そのものを入口に切り替えました。切り替えの前に、生出力と人手の明細を約9.8万セルで突合し、セル単位の不一致は1件(人手で補われた単価)だけであることを確認しています。明細が生出力の転記そのものだと実測できたので、貼り付け工程を前提から外せました。

3. 作った側のプログラムと検証の報告を見ずに、全量を照らし直す

作った側のプログラムと検証の報告を見ない状態で、全量を計算し直して照らし合わせました。この照合は、こちらの主張を1件退けています(ペアのずれを12件と報告していたが、厳密には10件)。残る差はすべて分類され、原因不明はゼロです。同時に、人手側の揺れも3件見つかりました。うち1件が、合計は正しいまま個別の行だけが誤って表示される、前述の型です。

4. 「今のやり方の再現」を目的から外す

再現は、こちらの理解が正しいことを示す診断としては有効です。ただし目的化すると、作業の痕跡まで律儀に作り込むことになります。途中で指標を「人手の再現度」から「業務の目的にどれだけ効くか」へ切り替えました。増減理由の下書きは、金額ベースで84.6%をカバー。設定を決めるときに使っていない別の月のデータに、設定を変えずに当てても87.8%で、後から当てはめた結果ではないことを確認しています。

難しかった​こと

正解に置いた人手の完成品が、1枚ごとに作り方が違う。 同じ様式の資料でも、元データを取った時点がシートによって違い、並べ替えをしているシートとそうでないシートが混ざっていました。揃っていない正解に1つのルールを当てると、機械の誤りと元の揺れの区別が付きません。差はすべて分類し、原因が説明できない差をゼロにするまで詰めました。

一致率は、測り方を決めた側が上げられる。 人手の並び順に合わせて設定を選べば、数字は上がります。それは実力ではなく、後から合わせた結果です。照合した側の勧めに従い、並び順に依存しない内容ベースの数字を主指標に置き、何をどう数えたかの定義ごと報告しました。

値が合うことと、毎月回ることは別の条件。 生成の仕組みが当社の手元にある限り、値がいくら合っても、毎月当社が動かす形になります。完了の条件を値の一致だけにせず、顧客側で同じものが出せる場所に置くところまでを含めました。

納品物

資料を自動で作るプログラム3種類(それぞれ単体で動くスクリプト)、生成した資料一式、測り方の定義を開示した検証結果の文書、そして増減要因と連結業績の差の候補を金額の大きい順に並べたデータベースの試作環境です。

結果

原価の差を比べる表は、抜粋分で約1,200行・約6.6万セルが人手の完成品と完全一致しました。全量では、並び順に依存しない内容ベースで99.46%です。滞留在庫を調べる表は、2か月分・約60万セルで、作った範囲の値が人手の表とすべて一致しました。人が記入する欄は、作成記録で一覧にして渡します。連結業績の差の要因分解は、経営層向けの説明資料に転記された約30の数値と1円未満で一致し、あわせて資料とデータの食い違いを4件検出しています。

価値の置き所は、この検証の途中で変わりました。当初の狙いは「増減の原因を自動で特定する」でしたが、実測でわかったのは、人が挙げた39の論点のうち17はデータに該当する列そのものが無く、自動では出しようがないということです。代わりに機械が確実にできるのは、候補を金額の大きい順に絞り込むことと、資料とデータの食い違いをその場で出すことでした。

その​後

検証結果は測り方の定義つきで報告済みで、候補の一覧はデータベース上で実際に触れる状態にしています。月次の運用の形を決める段階です。定期資料の自動化で先に決めるべきことは毎月のレポート作成を「確認するだけ」にするに整理しています。

同じ型が​効く​業務

毎月、人が表計算で作り直している資料があれば、この案件と同じ型が使えます。月次の予実、在庫や販売の集計、経営会議に出す説明資料、部門別の数字の突き合わせなど、数字自体はシステムにあるのに、その先の並べ替えと注記が人手に残っている業務です。

この案件で効いたのは、要件を聞き取って設計するのではなく、人手の完成品を仕様書として扱ったことです。完成品があれば、正しさを一致という形で測れます。当社の経験では、測り方の定義を先に決めておくほうが、後の議論が短く済みます。

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