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上場3,817社の​有価証券報告書を​AIで​分析|​システムの​老朽化・​刷新は​2.0%、​業務の​属人化は​3.6%

上場会社3,817社の有価証券報告書の「事業等のリスク」をAIで読み、自社の情報システムの老朽化・刷新と、業務・技術の属人化をリスクとして書いた会社を数えた調査の詳細です。従業員の規模別・業種別の全集計、記載の例、調査の方法を載せています(2026年10月)。

著者: 村山 悠太(ゴムマリ) 最終更新: 2026年10月

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この記事でわかること

  • 上場会社3,817社のうち、システムの老朽化・刷新をリスクに挙げた会社は76社(2.0%)、業務・技術の属人化は139社(3.6%)
  • 従業員5,000人以上の会社はシステムの老朽化・刷新を、300人未満の会社は業務・技術の属人化を、ほかの規模より多くリスクとして書いていた
  • 100社以上の業種では、機械・電気機器・情報・通信業で属人化の割合が高く、機械と電気機器ではその多くが技術・技能の継承に触れていた
目次
  1. システムの老朽化・刷新は2.0%、業務・技術の属人化は3.6%
  2. 5,000人以上はシステムを、300人未満は人を書く
  3. 業種別に見ると
  4. 有価証券報告書に書かれていた言葉
  5. 結果から読み取れること(当社の見解)
  6. 古い仕組みと属人化した業務のご相談
  7. 調査概要
  8. この調査についてのお問い合わせ

2025年10月から2026年10月までに提出された上場会社の有価証券報告書3,817社分について、「事業等のリスク」の記載をAIで読み、自社の情報システムの老朽化・刷新と、業務・技術の属人化をリスクとして書いている会社を数えました。システムの老朽化・刷新を挙げた会社は76社(2.0%)、業務・技術の属人化を挙げた会社は139社(3.6%)でした。従業員の規模で分けると、5,000人以上の会社ではシステムの老朽化・刷新が5.0%、300人未満の会社では業務・技術の属人化が5.0%と、規模によって書かれるリスクが分かれました。

このページは、この調査の詳細です。従業員の規模別・業種別の全集計と、調査の方法を載せています。

システムの​老朽化・​刷新は​2.0%、​業務・​技術の​属人化は​3.6%

上場会社3,817社の有価証券報告書の「事業等のリスク」のうち、自社の情報システムが古い・レガシー化している・保守やサポートの終了が近い、と書いた会社は37社(1.0%)、自社の情報システムの刷新・更新・移行に伴うリスクを書いた会社は47社(1.2%)で、どちらかを書いた会社は76社(2.0%)でした。業務・技術・ノウハウが特定の従業員や技術者に依存している(属人化)、または技術・技能の継承を書いた会社は139社(3.6%)でした。参考として、代表者や経営陣への依存を書いた会社は306社(8.0%)です。

有価証券報告書の「事業等のリスク」に書かれていたこと(上場会社3,817社): システムの老朽化・刷新 2.0%(76社)、業務・技術の属人化 3.6%(139社)、経営者への依存(参考)8.0%(306社)

5,000人以上は​システムを、​300人未満は​人を​書く

従業員の規模で4つに分けると、いちばん大きな層といちばん小さな層で、書かれるリスクが入れ替わりました。システムの老朽化・刷新を書いた会社の割合は、5,000人以上で5.0%と4つの層で最も高く、300人未満では0.7%でした。反対に、業務・技術の属人化を書いた会社の割合は、300人未満で5.0%と最も高く、5,000人以上では2.4%でした。

従業員の規模別: システムの老朽化・刷新は300人未満0.7%・300〜999人2.1%・1,000〜4,999人1.9%・5,000人以上5.0%、業務・技術の属人化は300人未満5.0%・300〜999人2.9%・1,000〜4,999人3.5%・5,000人以上2.4%

規模ごとの社数と割合は次のとおりです。従業員の規模は有価証券報告書に記載された従業員数で分けており、従業員数の記載が無い2社を除いた3,815社の集計です。

従業員の規模 分析した会社 システムの老朽化・刷新 業務・技術の属人化
300人未満 1,181社 8社(0.7%) 59社(5.0%)
300〜999人 1,063社 22社(2.1%) 31社(2.9%)
1,000〜4,999人 1,026社 19社(1.9%) 36社(3.5%)
5,000人以上 545社 27社(5.0%) 13社(2.4%)

業種別に​見ると

業種で見ると(100社以上の業種)、業務・技術の属人化を書いた会社の割合が高いのは、機械(212社中19社・9.0%)、電気機器(230社中14社・6.1%)、情報・通信業(617社中33社・5.3%)でした。このうち機械と電気機器では、属人化に当たった会社の多くが、技術・技能の継承に触れていました(機械19社中13社、電気機器14社中10社)。情報・通信業では33社中1社で、同じ属人化でも、業種によって中身が異なります。

全業種の社数と割合は次のとおりです。業種はEDINETコードリストの提出者業種で、分析した会社の多い順に並べています。

業種 分析した会社 システムの老朽化・刷新 業務・技術の属人化
情報・通信業 617社 10社(1.6%) 33社(5.3%)
サービス業 561社 11社(2.0%) 21社(3.7%)
小売業 328社 7社(2.1%) 3社(0.9%)
卸売業 303社 5社(1.7%) 4社(1.3%)
電気機器 230社 2社(0.9%) 14社(6.1%)
機械 212社 4社(1.9%) 19社(9.0%)
化学 201社 7社(3.5%) 7社(3.5%)
建設業 149社 1社(0.7%) 1社(0.7%)
不動産業 130社 0社(0.0%) 5社(3.8%)
食料品 126社 2社(1.6%) 1社(0.8%)
その他製品 111社 2社(1.8%) 2社(1.8%)
金属製品 88社 2社(2.3%) 2社(2.3%)
銀行業 83社 4社(4.8%) 0社(0.0%)
輸送用機器 81社 3社(3.7%) 1社(1.2%)
医薬品 81社 0社(0.0%) 6社(7.4%)
陸運業 61社 2社(3.3%) 1社(1.6%)
ガラス・土石製品 52社 0社(0.0%) 2社(3.8%)
精密機器 52社 3社(5.8%) 5社(9.6%)
繊維製品 47社 0社(0.0%) 1社(2.1%)
その他金融業 43社 3社(7.0%) 3社(7.0%)
鉄鋼 38社 1社(2.6%) 1社(2.6%)
倉庫・運輸関連 34社 1社(2.9%) 1社(2.9%)
証券、商品先物取引業 33社 2社(6.1%) 1社(3.0%)
非鉄金属 32社 1社(3.1%) 1社(3.1%)
電気・ガス業 27社 1社(3.7%) 0社(0.0%)
パルプ・紙 24社 0社(0.0%) 2社(8.3%)
ゴム製品 17社 0社(0.0%) 2社(11.8%)
保険業 15社 1社(6.7%) 0社(0.0%)
水産・農林業 11社 0社(0.0%) 0社(0.0%)
海運業 11社 0社(0.0%) 0社(0.0%)
石油・石炭製品 9社 0社(0.0%) 0社(0.0%)
鉱業 5社 0社(0.0%) 0社(0.0%)
空運業 5社 1社(20.0%) 0社(0.0%)

社数が少ない業種は、1社の違いで割合が大きく動きます(例: 空運業は、5社中1社でシステムの老朽化・刷新が20.0%)。割合は、分析した会社の数とあわせて読んでください。

有​価証券報告書に​書かれていた​言葉

実際の記載から、いくつかを業種とともに紹介します(社名は伏せています)。

  • 「ITシステムの老朽化や複雑化やブラックボックス化により、既存システムの維持管理に資金や人員が割かれたり、システム担当者の高齢化や退職により、システムトラブルやデータ滅失などの復旧が困難な状況が生じる可能性」(輸送用機器)
  • 「業務システムは10年以上前に導入されたシステムが中心であり、十分な改修や見直しの投資がされてこなかったことから老朽化が進んでおります」(サービス業)
  • 「基幹システムの肥大化およびブラックボックス化によるシステムトラブルの発生」(鉄鋼)
  • 「事業/業務停止につながり得る属人化・代替不能業務の存在」(機械)
  • 「熟練技能の継承が円滑に進まない場合、製品の品質や生産効率の低下を招く恐れがあります」(非鉄金属)

結果から​読み取れる​こと​(当社の​見解)

ここからは、上の結果をもとにした当社の見解です。

経済産業省は2018年のDXレポートで、既存システムの複雑化・ブラックボックス化が残れば2025年以降に大きな経済損失が生じうると指摘し、これを「2025年の崖」と呼びました。その2025年を過ぎた今、有価証券報告書でシステムの老朽化・刷新をリスクとして書く上場会社は2.0%にとどまります。ただし、有価証券報告書に何を書くかは各社の開示の判断であり、書いていないことは、古いシステムや属人化が無いことを意味しません。

いちばん大きな層と小さな層の違いは、リスクの置き場所の違いとして読めます。大きな会社では、基幹システムの規模が大きく、その刷新が経営の課題として事業等のリスクに上ります。小さな会社では、業務が仕組みよりも人に乗っており、その人が抜けることがリスクになります。そして、輸送用機器の会社の記載にあるとおり、古い仕組みとそれを分かる人の退職は、同じ一つのリスクの両面でもあります。

当社は、作った人にしか分からないExcelマクロや、特定の担当者の頭の中にある手順を、AIで読み解いて仕組みに置き換える仕事をしています。古い仕組みと属人化は、どちらも「中身を分かる人がいなくなったときに止まる」という点で同じ形をしています。

出典:経済産業省「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」(2018年9月)

古い​仕組みと​属人化した​業務の​ご相談

作った人しか分からないマクロや古い仕組みは、マクロ・VBA解読/リファクタリングで、何をしているかを読み解いて、読める仕様書と動く再実装にしてお返しします。

特定の担当者だけが分かる手順で回っている業務は、AIエージェント導入で、業務を1本ずつ仕組みに置き換え、月額の運用で回し続けます。

調査概要

項目 内容
調査期間 2026年10月14日(分析を行った期間)
調査機関 自社調査(ゴムマリ株式会社)
調査対象 2025年10月1日〜2026年10月8日にEDINETへ提出された上場会社の有価証券報告書のうち、各社の最新の1件(3,824社)。このうち「事業等のリスク」の本文を取得できた3,817社を分析
有効回答数 調査対象が人ではないため該当なし(分析した有価証券報告書: 3,817社分)
調査方法 EDINET APIで取得した有価証券報告書(XBRLをCSVに変換したもの)から「事業等のリスク」の本文を抜き出し、関連する語を含む1,758文をAI(大規模言語モデル)で判定。会社に該当する文が1つでもあれば、その会社を数えた。無作為に選んだ150文を別のAIで独立に判定し直し、一致率はシステムの側97.7%・属人化の側95.2%。該当ありと判定した文は、すべて別のAIで判定し直し(一致率はシステムの側92.9%・属人化の側93.5%)、食い違った文は当社が全文を読んで決めた

関連する語を含まない言い回しで書かれた記載は数に含まれないため、割合は実際の記載より低めに出ている可能性があります。従業員の規模別の集計は、従業員数の記載が無い2社を除いた3,815社です。

出典:EDINET閲覧(提出)サイトをもとにゴムマリ株式会社作成、公共データ利用規約 第1.0版

この​調査に​ついての​お問い​合わせ

本調査の業種別の集計についてのお問い合わせ、または、作った人しか分からないマクロや属人化した業務についてのご相談は、対象の業務(例: 月次の集計に使うExcelマクロ、特定の担当者だけが分かる手順)を添えてお問い合わせフォームからお送りいただくと、進め方を具体的にご案内できます。

この記事を書いた人

代表 村山悠太のポートレート

村山 悠太(ゴムマリ代表)

国産大手ERPベンダーで新卒からERPのエンタープライズ営業・プリセールス・導入コンサル、外資系SaaSでパートナーセールス部門の立ち上げ、国内大手放送局で新規事業開発(通販カタログ事業)、AIスタートアップ2社でビジネスサイドの要職を歴任。2024年10月から生成AIを自ら実装し、2025年にゴムマリ株式会社を設立。

現在は自らAIエージェントを実装するFDE。評価セット設計・専門家監修・Go/No-Go判定、CRM・会計・社内DBとの統合、減った時間の実測まで一貫します。要件から、運用まで——AIエージェントが、現場で成果を出す仕組みを。

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